2012年11月14日水曜日

西野解任 神戸はぶれているのか(前編)

シーズン最終盤、3試合を残しての西野監督の解任について、ヴィッセル神戸フロントの迷走、中長期ヴィジョンの無さ、経営の一貫性の無さという論調が主流だ。

それはそうだろう。僕自身もサポミに出席して話を聞くまではそう感じていた。
また、よその組織を卑下したり嘲笑していい気になりたいという心情は誰しも心の奥底にあるものだろう。

安易な結論として、前述のようなものに行き着くことを責めることはできない。
 しかし、僕を含め、サポミでそうした安直な結論が真実ではないことが気づいた神戸サポーターは少なからずおり、このブログを始め、幾人かの情報発信によってその理解は神戸サポの間で確実に広がっていっている。 

ここでもう一度、西野監督更迭の背景を整理したいと思う。 

ボタンの掛け違い


西野監督更迭に触れる前に和田監督の交代について触れない訳にはいかない。ボタンの掛け違いはここから始まっている。

和田監督解任のときに明確な説明がないまま、安達さんを経て、西野監督に移行した。西野監督が呼ばれた際、高橋GMの出身大学が早稲田大学であることにちなみ、高橋GMが西野招聘に動いていたのではないかという憶測が囁かれていた。というもの、奥井や植草ら早稲田大学に縁のある選手補強がそれまでに行われていたから、西野監督招聘も早稲田学閥がらみなのだろうという裏読みがあったのだ。

監督就任の記者会見では、三木谷会長が西野監督を招聘したということであった。
しかし、西野招聘に高橋GMが関わっていることが当然なのだろうと考えていれば、シーズン当初に高橋GMが示していた大きな移籍金をかけずに神戸の戦い方に合う有力選手を獲得するというマネーボールとも評された方針は完全に撤回され、大きなコストを要する長期西野政権が敷かれたのだと多くのサポーターが思ったのは当然のことだろう。

何よりも大きな問題だったのは、この時点で高橋GMから和田監督から西野監督への交代の経緯について、公式ホームページやその他の媒体で説明が全くなかった。改めていう、神戸のビジョンに対するフロントサイドとサポーターとのボタンの掛け違いはここが始まりだった。 


西野監督でJ2は戦えるか?


昨年の柏レイソル、今年優勝争いをしている広島と仙台。いずれもJ2で地力を蓄えてJ1で上位の実力者となったという状況である。その他にはセレッソ大阪も同様の歩みをしている。
なにか、一度J2に落ちたほうがJ1の上位にジャンプアップできるような錯覚さえ起こしてしまう。

ましては、実績のある西野監督を据えていれば、そうしたV字回復をしたチームと同様の路線を辿れるのではないかと夢を見てしまい、残留争いの苦しさをいつの間にかそっちに逃避していたサポーターも多くいたのではないだろうか? 

J2からJ1の上位進出したクラブには幾つかの共通点がある。 J2で独走優勝してJ1昇格し、翌年J1上位となった広島、セレッソ、柏の監督はいずれも外国人監督であった。また、この3チームは下部組織から優秀な若手選手が潤沢に供給されてくるという共通点もある。

特に広島とセレッソは下部チームとトップチームの戦術が同じで一貫した育成がなされていることが特徴的だ。 柏は優秀な若手選手に加え、優秀なブラジル人選手がチームの中核をなしている。

 一方、神戸は下部組織から優秀な若手選手が供給されつつあるが、オリンピック代表クラスを複数人というレベルには達していない。また、西野監督のサッカーは下部組織のサッカーとは異なっている。
 さらに、後述するが、西野サッカーはコストが非常にかかるという欠点がありJ2では戦いづらいという欠点がある。

仮に、現有戦力が維持できて、西野監督でJ2を戦ったとしても去年のFC東京のように、単に個々の能力で押し切るだけのサッカーになったのではないだろうか?
この西野サッカーが個々の能力で押し切るだけということについても後述する。


西野サッカーは面白かったか?


サポーターミーティングでは9戦勝なしを解任の直接的な理由としていた。 
リーグ戦の戦績は5勝6分8敗。この中で西野サッカーのベストゲームはどれだったのだろう?
僕はアウェイの磐田戦をあげる。

この試合は、立ち上がり神戸がペースを握り先制するものの、ジュビロは右サイドの駒野を活かしてサイドアタックを繰り出し同点に追いつく。
西野監督はトップの小川慶治朗と左サイドの大久保嘉人を入れ替える采配をし、小川のスピードで駒野の前進を抑えるのみならず、逆に小川のハットトリックという結果まで生み出し、快勝した。

しかし、これには後日談がある。 ホームのジュビロ戦、アウェイと同様に前半は神戸がゲームを支配し、小川が先制点を奪った。

この試合も、アウェイと同様に快勝が期待されたが、後半、ジュビロの森下監督が左サイドに山崎を投入してくると、完全にサイドを支配され、奥井が苦し紛れのファールで退場。
結局、これが響いて逆転負けとなる。

西野采配は、このホームジュビロ戦のように相手監督の打つ手に、手を打ち返せないというケースが非常に多かった。 

その最たる試合がホームで2点リードし、相手が一人少ないにも関わらず逆転負けを喫したセレッソ戦だ。

話を戻そう。西野監督のもと、面白いサッカーをしたものは、アウェイの磐田戦、あとあえていうとドローではあったがホームの川崎戦、この二つしかなかったのではないだろうか?ぜひ、みなさんのご意見をお聞かせください。
(後編に続きます)

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